先入観を揺さぶるイリュージョン

早川祐太

5月11日~15日まで3331 Arts Chiyodaで3331 Art Fairが行なわれました。
私たちは、プライズセレクターを務め、
早川祐太さんと三善チヒロさんを選びました。

早川祐太さんの、壁にかけられた粘土をこねた作品『body』

早川祐太
この形に注意が向くのですが、
もう一つ、枝豆のような形のオブジェが天井から吊るされています。
『about us』というタイトルのこの作品、
ぱっと見、普通のインテリアのようです。

ところが、対称形なのにワイヤーが中心ではなく端の方についています。
このことに気がつくと、妙に気になって目が離せなくなります。
自分だけが秘密に気づいた時のワクワク感。

私たちは、対称形の物体の重心は真ん中にあるとつい思い込んでいますが、
全くの幻想であることをこの作品は語っています。
重心が端にあることで、風が吹いた時の揺らぎ方もふわふわと優雅、
独特の運動もこの作品の重要な要素です。

 
三善さんの作品は、国語辞典と英英辞典の写真。
近づいてみると、自分で作った文字が並んでいて、
私たちには、何が書かれているか全くわかりません。

三善チヒロ

三善チヒロ
見出しが太字で、細かい字が埋まった分厚い本を見ると、
つい辞書だと思ってしまいます。
この作品も、先入観を揺さぶるイリュージョンになっています。

辞書は、言葉の意味を調べるためにあるもの。
ところが、赤瀬川原平の書いた『新解さんの謎』を読むと、
新明解国語辞典は、言葉の説明や引用文がやたらに艶かしく、
小説のようにむさぼり読んだことが書かれています。

辞書にもそれぞれ個性があって、
言葉の意味をどう表現し、どんな引用文を持ってくるかといったところに、
編集者の意思が表現されています。

言葉の意味を知るだけなら、Google 検索で事足りる現在、
三善さんの作品は、辞書はどういう役割を担うべきなのか、
存在意義の見直しをも促しています。

3331 Art Fair
2016年5月11日〜5月15日
3331 Arts Chiyoda


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